不思議な光る石との遭遇による恐怖の体験

心霊体験

それは、ほんの偶然から始まった出来事でした。普段なら気にも留めないような小さな出来事が、こんな恐ろしい結末をもたらすとは思いもしませんでした。

ある秋の夜、私はいつものように帰宅途中で、普段あまり通らない裏道を車で走っていました。理由は覚えていません。ただ、その夜は無性にその道を選びたかったのです。街灯もまばらで、古びた民家や畑が点在するような寂しい道でした。

その道を走っていると、ふとつるりとした石が道端に転がっていたのが目に入りました。運転中だったので、見間違いかもしれないと考えましたが、なぜかその石を目で追ってしまいました。そして、それこそがその晩の最初の違和感でした。

その石は、まるで誘うように微かに光っていました。石に目を奪われた私は、すぐに車を止めて見に行くことにしました。何かに呼ばれるように、私は車を降りてその石のところまで歩いて行きました。それは手のひらに十分乗るサイズで、まるで磨かれたように滑らかで、あたかも夜の中に浮かんでいるかのようにぼんやりと明るく輝いていました。

何の変哲もない普通の石のはずなのに、不思議と手に取ってみたいという気持ちが強まりました。私は、恐る恐るそれに触れました。手に取った瞬間、急に寒気が背筋を走りました。そして、その瞬間に、頭の中に何かよく分からない囁き声が響いたのです。

「手放してはならない…」

それが何の声なのか、どこから聞こえてくるのか、全く理解できませんでした。私は恐怖を抱きながらも、何故かその言葉に重い責任感を持ち、その場を後にし家に戻りました。しかし、家に着いても頭の中でその声は絶えませんでした。

その石を部屋の隅に置いた途端、私は強い眠気に襲われ、眠り込んでしまいました。しかし、そこで見た夢は、実に不気味なものでした。見知らぬ場所で、朽ち果てた町の中を一人で歩いている夢でした。周囲には誰もおらず、ただ古びた建物だけが立ち並んでいました。ところどころ、窓から何かが覗いているような気がしてならず、どこからともなく笑い声が聞こえてくるのです。それは人間の声というより、もっと歪んだ、非現実的な響きでした。

目が覚めると、朝になっていました。しかし、昨晩の出来事がただの夢や幻想であったような気がせず、石を確認してみると、確かにそこにありました。昨晩見た悪夢は、ただの悪夢ではないと感じ始めました。その石は何かしらの力を持っており、私はその影響を受けているような気がしました。

それから数日間、その石は私の日常に邪魔をするようになりました。夜になると、あの囁き声が再び始まり、仕事中でも、ぼんやりとした意識の中で声が響いていました。「手放してはならない…」。それは、何か不吉な未来を予感させるものでした。

そして、ついに決心しました。私はその石を手放すことにしたのです。捨てるには忍びない気持ちがしながらも、常に頭に感知されるあの囁き声に堪えられず、何かしらの対策を取らねばと考えました。石を持って車に乗り込み、来るままにドライブして石を手放せそうな場所を探しました。

山を登る道を選び、人気の全くない小さな滝があるところに辿り着きました。息を整えながら、私はその石を水の中に捨てました。一瞬、石が水に沈み、光がぼんやりと消え失せていく様を見ました。その途端、あの囁き声も醒めたかのように消えてしまいました。

しかし、その帰り道、再び背筋に嫌な寒気が走りました。何かがまだ終わっていない、そんな直感でした。正直、何がどうなっているのか分かりませんし、もう振り返りたくありません。ただ、あるのはその異様な体験が日々の日常にも影を落としていくという恐怖だけです。これが実際に私が体験した全てです。そしてそれからというもの、おかしな出来事は避けて通るようになりました。

あの石は一体何だったのか、そしてあの囁きは何を伝えたかったのか、今でも考えることはありますが、もう知りたくありません。これ以上日常に恐怖が入り込むことなど望んでいませんから。

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