【舞台:ある地方都市の住宅街。夜。薄暗い街灯の下、人工的な静けさが漂う】
[主人公:タカシ、20代後半の男性。普通の会社員。仕事帰りのスーツ姿で、スマホを片手に歩いている]
タカシ:(独り言)さてと、早く帰って晩飯にしようかな。
[彼の目に、道端にあるゴミ箱の陰がちらりと映る。そこに何かが動いたような気配]
タカシ:(不安そうに立ち止まり)…ん?今、何か…?
[視線を向けるが、何も見当たらない。気のせいかと、再び歩き始める]
[その時、スマホの着信音が鳴る。番号非通知。躊躇しつつも、タカシは電話に出る]
タカシ:もしもし、タカシですが…
謎の声:(低く掠れた声で)…見てるよ…
タカシ:(驚いて周囲を見渡す)誰だ?これ、悪戯か?
[電話が切れる。辺りには相変わらず静けさが漂っている。タカシは不安を抱えつつも足早に歩き出す]
[場面転換:タカシの自宅リビング。タカシはソファに座り込み、スマホを見つめている]
[彼の親友、ケンジからメッセージが届く]
ケンジのメッセージ:「お前んとこ、最近変なことないか?俺の知り合いで、最近彼女の家の近くで妙な噂聞いたんだよ」
タカシ:(メッセージを見て頭を掻く)妙な噂…?
[その時、玄関のインターホンが鳴る。心臓が飛び出しそうな感覚に襲われるタカシ]
タカシ:(立ち上がる。深呼吸してから玄関へ向かう)誰だろう…こんな時間に。
[ドアスコープで外を確認するが、誰もいない。恐る恐るドアを開けると、足元に一枚の紙が落ちている]
[紙には、赤い文字で「次は…おまえだ」と書かれている]
タカシ:(紙を拾い上げ、呟く)次は…俺だって?
[意識的に気にしないようにするが、動揺は隠せない]
[場面転換:翌日。会社の休憩室。タカシと同僚のアキラが話している]
アキラ:お前、昨日顔色悪かったけど、どうかしたのか?
タカシ:(昨日の出来事を思い出しつつ)いや、ちょっと…変な電話があってさ。
アキラ:変な電話?
タカシ:うん、「見てるよ」って言われて、変な紙も置いてあって…
アキラ:(少し冗談交じりに)何それ、ホラー映画みたいだな。でも案外、ただの悪戯かもよ?
タカシ:(笑おうとするが、笑えない)そうならいいけど…
[場面転換:夜、タカシの自宅。彼はソファに座り、深く考え込んでいる]
[窓の外がカタッと音を立てる。視線をやると、何かが窓の外に映る]
タカシ:(心拍数が上がる)誰だ、外にいるのか?
[彼は窓に近づき、恐る恐るカーテンを開ける。そこには、いつも通りの風景が広がっている]
[スマホが再び鳴る。番号非通知。迷いながらも電話に出る]
タカシ:…もしもし?
謎の声:(再び低く掠れた声で)…次はおまえだ…
タカシ:(怒って)一体何が目的なんだ!ふざけるのもいい加減にしろよ!
[電話が切れる。タカシは混乱と恐怖で座り込む]
[場面転換:数日後、タカシとケンジがカフェで話している]
ケンジ:タカシ、大丈夫かよ。お前、顔色ひどいぞ。
タカシ:(ふと上の空で)…ここ最近、ずっと何かに見られてる感じがするんだ。
ケンジ:(真剣そうに)実はな、俺、その話のこと少し調べたんだ。どうも、ここら辺で行方不明者が出てるらしい。
タカシ:(形相を変えて)行方不明者…?
ケンジ:(うなずく)しかも、皆共通して”次はおまえだ”って言ってたらしい。
タカシ:(頭を抱えるように)まさか…本当に何か…?
ケンジ:(励ますように)まあ、俺も調べるからさ、何か分かったら連絡するよ。
[場面転換:同夜、タカシの自宅。彼は部屋中を安全確認するが、何も見つからない]
[恐怖と不信感がピークに達したタカシ。ふと、自分が鏡の前にいることに気づく]
タカシ:(疲れた声で独り言)一体、何を見てる…?
[鏡に映った自分の影が不気味に動き出すような錯覚が起こる。緊張が走る]
[空き巣のような音が背後からする。振り向くが何もない。再び鏡に向き直ると…]
[彼の後ろに、見知らぬ人影が映り込んでいる。その影は消えることなく、むしろはっきりと形を成そうとしている]
タカシ:(恐怖で凍り付く)嘘だろ…誰なんだ…?
[その時、スマホがメッセージを受信する音が響く。震える手で確認すると、ケンジからだ]
ケンジのメッセージ:「気をつけろ。そいつは鏡を通じて近づいてくるって話だ」
タカシ:(恐怖心から立ち上がる)鏡…!?
[鏡を直視するも、そこに映るのは取り乱した自分自身のみ。影は消え失せている]
[場面転換:翌朝。タカシは決心する。鏡をいくつか取り外し、割ったり布で覆う]
タカシ:(決意を込めて)もう、こんなことに怯えてちゃいけない。
[彼が最後の鏡を割ろうとした瞬間、再び電話が鳴る。番号非通知]
タカシ:(ためらいながらも、電話に出る)…誰だ。もうやめてくれ。
謎の声:(穏やかな口調に変化)…振り向けば、違うものが見えるだろう…
[その声に背筋が凍る。振り向くと、破壊したはずの鏡が再び存在し、そこには異様な影がありありと映り込んでいる]
タカシ:(絶句し、後ずさる)これが…本当の…
[影がタカシに向かって手を伸ばす。その瞬間、タカシの意識は暗闇に吸い込まれるように消えていく]
[フェードアウト、物音一つ立てず、静寂のみが残される]
[画面に「Fin」の文字が映る]
【終幕】