不思議な日常の崩壊

日常崩壊

**場面1: 自宅のリビングルーム**

*朝、陽の光がカーテン越しに入り込み、微かに揺れている。時計が8時を指している。*

**陽子(30代半ば、主婦)**
(ソファから起き上がる)「今日も良い天気ね。」

*陽子がキッチンに向かう。コーヒーメーカーが一定のリズムで動作音を立てている。*

**陽子**
「子供たち、そろそろ起きる時間よ。」

*階段の方に声をかけるが、返事はない。家の中は静寂に包まれている。*

**陽子**
(不安になりながら)「そんなはずはないわ…」

*陽子はスマートフォンを取り出し、カレンダーを確認する。*

**陽子**
「今日は平日のはずよね…?」

*カレンダーには「火曜日」と書かれているが、頭には何か引っかかるものがある。*

**場面2: 学校の校門**

*陽子は娘の愛香(10歳)を連れて、学校の門前に立っている。*

**愛香**
「ママ、今日はお休みじゃないの?」

**陽子**
「そんなことないわ。ほら、他の子たちも来てるでしょ。」

*門の先には他の生徒たちがいるが、どこかぼんやりと見える。*

**愛香**
「みんな、少し変…」

*陽子は愛香の手を握り直し、学校の門をくぐる。しかし、通用口の扉がきしむような音を立てて開かない。*

**場面3: スーパーマーケット**

*陽子がスーパーマーケットで買い物をしている。棚には様々な日用品が整然と並んでいる。*

*突然、棚の商品が一斉に崩れ落ちる音が響く。陽子が振り向くと、床に散らばった商品が静かに動き出し、再び棚に戻っていく。*

**陽子**
「何これ…」

*周囲には誰もいない。商品が戻った棚は、元のように完璧に整っている。*

**陽子**
「こんなこと、ありえない…」

*陽子はスマートフォンを確認し、時間を再度確認する。時刻は一向に進んでいないことに気付く。*

**場面4: 自宅に戻る道**

*陽子と愛香が自宅に戻る途中、周囲の風景が微かに変化しているのに気づく。*

**愛香**
「ママ、見て、あの家…」

*手を指す方向にあるのは、以前は古びた木造の家だったが、今は真新しい建物になっている。*

**陽子**
「いつの間に…」

*道の両側に並ぶ家々も、次々と異なったスタイルに変化していく。陽子は一層不安になる。*

**場面5: 自宅のリビングルーム**

*帰宅した陽子と愛香は、家のリビングルームで夕食を取っている。*

**愛香**
「今日は学校、何もなかったね。」

*愛香の言葉を飲み込むように、リビングルームの壁が微かに揺れた。*

**陽子**
(壁を見つめながら)「本当に…何もなかったのかしら。」

*陽子がテレビをつけると、画面が激しくノイズで揺れて映像が定まらない。*

**陽子**
「テレビもおかしいわ…」

*リモコンでチャンネルを変えても、全ての映像が乱れている。陽子は不安を隠し切れない。*

**場面6: 夜の寝室**

*寝静まる愛香を寝かせた後、陽子はベッドに横たわっている。しかし、眠れない様子で目を見開いている。*

*窓の外から、どこか遠くで聞こえる鈴の音が微かに響いている。*

**陽子**
「こんな時間に、誰かが…?」

*鈴の音は少しずつ近づき、家の周りを一周するように聞こえる。*

*窓ガラスに影が差し、何かが動いているのが一瞬映る。*

**陽子**
(恐怖で動けず)「誰…?」

*しかし、その影はすぐに消え、鈴の音も遠ざかっていく。*

**場面7: 翌朝、自宅のリビングルーム**

*陽の光が再び入り込み、前日と変わらぬ朝が訪れる。*

**陽子**
「今日は…何かが変わるかしら。」

*陽子がキッチンで朝食を準備していると、ふと背後に人の気配を感じる。*

*振り向くと、愛香が無表情で立っている。*

**愛香**
「ママ、夢見てたの?」

*陽子は答えられないまま、愛香を見つめる。微かに揺れる何かが、まだその背後に潜んでいるように思えた。*

*リビングの窓から見える景色は、すでに見慣れたものと異なっていた。*

(暗転)

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