新型感染症の脅威と崩壊する社会

感染症

**5月1日**

まだ少し信じられない気持ちがあるが、これが現実だと認めざるを得ない。ニュースでは新型の感染症について報じている。原因不明の高熱と激しい咳が続き、日常生活に支障をきたすほどになるらしい。そして今日、職場の同僚が突然その症状を訴え、救急車で運ばれていった。あの安らかな日常が崩れ始めるのを感じた。

**5月3日**

街はどことなく不穏な空気に包まれている。スーパーは買いだめに走る人々でごった返し、棚は空っぽだ。私も食料品を手に入れるために買い物に出かけたが、手に入れられたのは非常食程度。状況はますます悪化している。

**5月5日**

高熱の患者が次々に死亡しているとの報告が入っている。だが、驚くべきことに、その後突然生き返ったという例が何件も確認されている。その状態を「蘇生」と呼んでいるが、その振る舞いはまるで別の生物だ。凶暴で、理性を失っているように見える。病院はパニックになり、患者の隔離も完全に機能していない。

**5月8日**

完全に街が機能不全に陥った。感染者が暴れ回り、秩序が崩壊したことで、警察や自衛隊まで出動しているとラジオで言っていた。しかし、感染は拡大の一途を辿っている。私の家族はすでに感染して隔離された。連絡することもできず、不安に押し潰されそうだ。

**5月10日**

身の安全を確保するため、家で閉じこもることにした。窓には板を打ち付け、ドアも厳重に施錠。テレビはすでに放送を停止しており、情報を得る手段は限られている。ラジオから流れるのは、わずかな救助情報と限られた安全地帯の報告だけ。だが外出するのは危険が大きすぎる。

**5月15日**

静寂が続く。しかしその静けさは、何か恐ろしいことが起きる前触れのようでもある。感染した人々は夜になるとどこからともなく叫び声をあげている。まるでこちらの存在を感じ取っているかのようだ。そして恐ろしいことに、昨日の夜、窓を叩く音がした。心臓が凍り付く思いだった。

**5月20日**

食料の残りが少ない。外に出なければならないかもしれないが、怖くて足がすくんでしまう。仲間たちの多くは家族や知人とともに避難計画を立てたようだが、私は一人だ。それでも生き延びなければならない。この手記がいつか誰かに見つけられることを願いながら書き続けている。

**5月25日**

覚悟を決めて、外に出た。街は荒れ果て、行き交う人々もわずかしかいない。その人々もまた、目に生気がなく、歩く姿はまるで魂が抜けてしまったかのようだった。なんとか無人のコンビニに辿り着き、わずかに残っていた食料を手に入れることができた。この持続しない状況を嘆く暇もなく、早く安全な場所を探さなければ。

**5月30日**

ついに安全地帯と思しき場所に辿り着いた。ここでは医療スタッフが待機し、感染者の診断と治療を行っているようだ。私も検査を受け、幸運にも感染していないことが確認された。しかし、ここに来るまでの道すがら、あまりに多くの惨状を目にした。それがいまだに脳裏を離れない。

**6月5日**

安全地帯での生活にも慣れたが、ここにも限界がある。食料や水の供給が追いつかず、次第に人々の間でも緊張が高まっている。そして、感染が進化しつつあるという噂が流れている。再度の変異によって、感染者の行動がより高度になっているというのだ。彼らは記憶や技能を取り戻しつつあるのかもしれない。

**6月10日**

本日はある医師から驚くべき情報を聞いた。蘇生した人間たちは非常に高い知能を持っており、新たな指導者のもとで組織化されつつあるという。まるで一つの新たな社会を作り出すような動きだ。私たちの社会はこのまま崩壊してしまうのだろうか。救いを求めてここに来たが、再び心に不安の種が蒔かれた。

**6月15日**

刻々と変わる状況に耐えきれなくなった人々が、私も含めて、外部への脱出を考え始めている。だが、周囲を徘徊する感染者たちの数は日に日に増している。彼らの目はギラギラと光り、言葉には言い表せない狂気を孕んでいる。その姿が夢にも現れ、乗り越えようとする意志を打ち砕く。

**6月20日**

脱出を試みたが、失敗に終わった。逃げ場を失った者たちは極限状態に追い詰められ、お互いを信用できなくなっている。それでも何とか共同生活を続けているが、この場所が安全であり続ける保証はどこにもない。そして、ある夜、感染者たちが集団で押し寄せてきたという報告が入った。すぐに対応に移らなければ。

**6月25日**

最悪の事態が発生した。感染者たちは新たに進化した組織力を持ち、私たちを囲むために策略を巡らせているようだ。彼らの目的が何であるのか、私には理解できない。しかし、夜ごとに続く彼らの攻撃は激しさを増しており、もはやこの場所が持ちこたえることは難しい。脱出するしか道はない。

**6月30日**

一縷の望みを抱きながら、再び脱出を図った。だが、その行く先には終わりの見えない恐怖と絶望が待ち構えているのだろう。私の生存がどれほど続くか分からない。だが、この手記を通じて、いつの日か誰かがこの恐ろしい現実を理解し、再び安らぎの世界が訪れることを願わずにはいられない。용결しない現実が、ただただ無情に過ぎ去っていくのを感じる。

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