【登場人物】
– 語り手(ナレーター)
– 友人A
– 友人B
– 友人C
– 団地の管理人
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【場面1:夜の居酒屋】
<場所:薄暗い居酒屋の一角。テーブルを囲む友人たち。>
語り手(V.O):最近、妙な噂を聞いたんだ。知人の友達が体験したらしいんだけど、それがどうにも気味が悪くて――。
友人A:「どんな話?」
友人B:「またまた、私たちを怖がらせようとしてるだけでしょ?」
語り手:「いや、本当に。聞いてみてくれよ。」
<友人たちが興味を引かれる様子を見せる。>
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【場面2:団地の入り口】
<場所:古びた団地の入り口。夜、外灯がちらつく。>
語り手(V.O):その団地は、築年数がかなり経過していて、あまり人が住んでいないという。知人の友達Cが、ある日突然引っ越してきた。
友人C:「ここが新しい住まいか……。思ったより近代的じゃないけど、家賃が安いしな。」
<友人Cは大きな溜息をつき、鍵を開ける。>
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【場面3:団地の廊下】
<場所:薄暗い団地の廊下。足音が響く。>
語り手(V.O):インターネットで調べた感じだと、特に問題はなさそうに見えたらしい。でも、夜になると違和感に気づくようになる。
<友人Cが足を止め、背後を振り返る。誰もいない。>
友人C:「気のせいか…。」
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【場面4:友人Cの部屋】
<場所:団地の一室。引っ越しのダンボールが積まれている。>
<友人Cが片づけに疲れて、ソファに座り込む。部屋には不気味な静けさが満ちている。>
友人C:「さすがに疲れたな……。今日はもう寝よ。」
<突然、壁の裏から微かな音がする。>
友人C:「……?」
語り手(V.O):その音は、まるで誰かが壁越しに囁いているかのようだった。
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【場面5:団地の外】
<場所:翌日、団地の外。太陽が沈みかけている。>
語り手(V.O):友人Cは気になって、団地の他の住人に話を聞くことにした。
<友人Cが管理人に話しかける。>
友人C:「最近、夜になると壁の裏から変な音がするんですが…。」
管理人:「ああ、この団地は古いから、風の音とかで不気味に響くこともあるんですよ。」
<管理人は笑って取り合わない様子で去る。>
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【場面6:ガラス窓の外】
<場所:団地のガラス窓の外。夜、雨が降り始める。>
語り手(V.O):友人Cは言い知れぬ不安を抱えつつ、その夜再び壁に意識を向けた。
<友人Cがコンコンと壁を軽く叩く。すると、壁の裏から同じリズムで返事が返ってくる。>
友人C:「誰か、いるの?」
<返答はない。ただ、微かな囁き声が続く。>
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【場面7:壁の中の声】
<場所:友人Cの部屋。深夜、周囲は静けさに包まれている。>
語り手(V.O):数日後、友人Cはある決心をした。壁の裏を確かめることにしたのだ。
<友人Cが壁紙を剥がし始める。中から古びた木の板が見える。>
友人C(息を呑む):「何これ……。」
<木の板を外すと、壁の奥が覗くことができる。暗い隙間の中に、小さな人影が動いているように見える。>
語り手(V.O):そこには、何かがいる。友人Cは、恐怖で声を上げられなかった。
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【場面8:恐怖の真相】
<場所:その後、居酒屋。再び集まる友人たち。>
友人B:「それで、どうしたの?」
語り手:「その人影はすぐに消えたらしい。でも、管理人に言ったら、それから音は聞こえなくなったって。」
友人A:「本当に人がいたの?」
語り手:「それは分からない。でも、噂では昔、そこに住んでいたある家族が団地で亡くなって、その霊が壁の中に囚われているんだって。」
<友人たちが顔を見合わせ、ぞっとして背筋を震わせる。>
友人C(V.O):しばらくして、その噂を聞いた友人Cも引っ越したらしい。でも、まだあの団地はそこにある。音を立てながら――。
<店内の明かりが揺らめく。>
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【終わり】