恐怖の廃病院探検譚

閉鎖空間

ある日のこと、友人の提案で、廃墟マニアの私たちは、ある噂の廃病院へ肝試しに行くことにしました。その病院は、山奥にひっそりと佇んでおり、「戻ってきた者はいない」という恐ろしい噂が流れていたのです。私は内心、その噂を馬鹿にしていましたが、友人たちが協力してくれるというので参加を決めました。

夕方に病院の入口に着いた私たちは、辺りが暗くなった頃に潜入を開始しました。病院のドアは、思った以上に簡単に開き、中は物音ひとつしない静寂が支配していました。懐中電灯をともして進むと、廊下や病室には散乱した医療器具やさびついたベッドがあり、どれも長年人の手が入っていないことを物語っています。

最初は単なる廃墟探索のつもりでいた私たちでしたが、進むにつれておかしなことが起こり始めました。誰も触っていないのにカートが動く音が聞こえたり、誰かがかすかに話している声が響いたり。初めは誰かのいたずらだと思い込んでいましたが、次第に友人たちの顔に恐怖が浮かび始めました。

私たちは三階の病室に足を踏み入れたとき、一気にその異様な気配は頂点に達しました。ぐるりと見回すと、壁に大きな赤い文字で「出て行け」と書かれているのを発見しました。しかも、その文字はまだ乾いておらず、まさに誰かが今ここにいたかのようでした。私たちはゾッとして、その場から立ち去ることにしました。

しかし、ここで思わぬことが起こりました。引き返そうとしたドアが、開かないのです。力を入れてもびくともしない。どこかからか「出て行け」とささやく声が響き渡り、パニックに陥りました。何とか別の出口を探そうと、病棟の廊下を駆け巡りましたが、行く先々のドアがすべて同じように閉ざされているのです。

その時、友人の一人が突然消えました。振り向くと確かに彼がいたはずなのですが、そこには誰もいませんでした。名前を呼んでも返事はなく、私たちはますます不安になりました。何が起こっているのか、どうすればここから抜け出せるのか——絶望感が私たちの心を締めつけました。

次に異変が起きたのは、薄暗い手術室に入ったときでした。テーブルの上には白い布がかけられています。何か遺体があるようでしたが、怖くてその布をめくる勇気はありませんでした。その時、再び「出て行け」という声が頭の中に響き渡りました。そして、友人が叫び声を上げ、倒れこみました。彼の顔は白くなり、目に見えない何かに襲われたかのように苦しんでいます。

私たちは成す術もなく、ただ彼を見守るしかありませんでした。どれくらい経ったか覚えていませんが、突然その騒動は止みました。友人の声が消え、手術室には静寂が戻りました。もう一度、脱出を試みるために立ち上がり、最後の力を振り絞って病院の入り口へ走り戻りました。

奇跡的に、さっきまでびくともしなかった扉が今度はすんなりと開きました。私たちは慌てて外に飛び出し、ひたすらその場から遠ざかるように走り続けました。

なんとか山を下り、街の明かりが見える場所までたどり着くと、安心とともに全身の力が抜ける思いでした。まるで夢でも見ていたのかと考えましたが、友人たちの顔にはまだ恐怖が残っており、あれが現実であったことを否応無しに思い知らされました。

それから、その友人とは再びその話をすることはありません。あの廃病院のことは一切口にしなくなりました。あの場所で体験したことが夢だったのか現実だったのか、それすらも分かりませんが、あの日以来、私はもう二度と廃墟に足を踏み入れることはしなくなりました。

最後に、あの廃病院には「悪いもの」が確実に棲んでいる。軽い気持ちで行った愚か者がどうなるか、私たちは身をもって思い知らされたのです。もしこの話を聞いて興味を持ったとしても、どうか近寄らないでください。あなたの命に関わるかもしれませんから。

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