幽霊屋敷での恐怖体験

猟奇

僕がこの話をするのには少し抵抗がある。多くの人は信じないだろうし、その方がいいとも思う。でも、もしかしたら誰かの役に立つかもしれないし、信じるか信じないかはあなた次第だ。

その日、僕はいつものように友達数人と地元のバーで飲んでいた。深夜3時を回った頃、帰ることにした。家までの道のりは車で20分ほどだが、その日は少し酔っていたので、友達のアパートで一晩明かすことにした。そこで顔を覚えていない誰かが、地元で有名な「幽霊屋敷」の話を始めた。僕らの街の外れにある、廃墟と化した古い屋敷だ。誰もその中に入ったことはないが、いくつかの都市伝説がある場所だった。

「そんなところ、ただの噂だろ」と、酔った勢いで僕は言った。しかし、その言葉とは裏腹に、興味が湧いてきたのは事実だった。何が僕をそうさせたのか、今でも分からないが、その夜、僕は一人でその屋敷に向かうことにした。

屋敷は街から離れた森の奥にある。細い道を車で進むうちに、月明かりにぼんやりと浮かび上がる不気味な建物が見えてきた。車を降りると、心臓がドキドキしたが、それでも僕は何かに引き寄せられるように、屋敷の方へ歩き出した。

入り口のドアは驚くほど軽く開いた。中に入ると、湿ったカビ臭い空気が鼻をついた。床はところどころに穴が開いていて、歩くたびに木が軋む音がした。電気はもちろん通っていないため、スマートフォンのライトを頼りに進むしかなかった。何も見えない暗闇の中で、ただひたすら前に向かって歩いた。

2階へ上がる階段を見つけ、何故かそこに行かねばならないという強い衝動に駆られた。階段はギシギシと音を立てて、まるで僕の存在を誰かに知らせようとしているかのようだった。その時、階段の上からかすかに何かが動く気配を感じた。立ち止まって耳を澄ませると、「カチャカチャ」という金属音が聞こえてきた。

恐怖というよりも好奇心が勝り、音のする方に向かって慎重に進んでいった。その部屋は小さな書斎のようだった。ライトを向けると、そこで僕は信じがたい光景を目にした。

薄暗い部屋の中央には、鉄の鎖で繋がれた一人の男がいた。彼の目は虚ろで、意識があるのかどうかも分からない状態だった。そして、その隣で一人の中年男が何かを組み立てているようだった。男の視線に気づかれる前に、僕は急いでライトを消したが、冷え切った緊張の中、僕の心臓の音がやたらと大きく聞こえた。

何も考えられず、そのまま後ずさりし、廊下にある古い絨毯に足を取られた僕は、一瞬息を呑んだ。その音に反応してか、居たのは目の前をふと横切った影で、「誰かいるのか?」という低い声が僕を包んだ。絶対に見つかってはならないと直感的に悟り、なんとか床を這って逃げようとした。

だが、運命は容赦なく僕を試しているかのようだった。突然、後ろから強い力で肩を掴まれた。反射的に振り返ると、そこにはさっきの中年男がにやりと笑っていたのだ。抵抗しようと必死になったが、体がすぐに動かなかった。僕はその場で気を失った。

目を覚ますと、僕はその部屋の片隅で縛られていた。鎖で繋がれた男と向かい合う形で、僕は座っていた。「どうしてこんなことを?」と尋ねようとしたその瞬間、中年の男が手に持っていた鋭いナイフをこちらに向けてきた。

「静かにしてくれよ。この屋敷は我々にとって重要な場所なのさ」と、どこか狂気を含んだ声で、その男は言った。僕は意味がわからず混乱していたが、その言葉の裏には何か恐ろしい計画が隠されていることだけは感じ取れた。

その後、音を立てないようにしてその場を逃げ出す計画を練り始めた。幸運にも、男たちが別の部屋に入っている間に、足を固定していた紐がだらしなく結ばれていたことに気づいた。なんとか脱出すると、止まっていた時間が突然動き出したように感じた。身の毛がよだつような恐怖の中、僕はただひたすら屋敷から逃げ出した。

その夜のことを警察に相談することはしなかった。証拠もなく、誰も信じてくれないだろうと思っていたからだ。でもその後、あの屋敷は火事で全焼したというニュースが流れた。僕は、いったい何があの屋敷で起きていたのか、それを知るのが怖かった。だから今も、誰にもこの話はしないでいる。

そして僕は、時々夢の中であの中年男の笑顔を思い出し、暗闇の中で目を覚ます。真実が何であったとしても、あの場所に行くことだけはお勧めしない。

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