【薄暗い山荘の内部】
(雨が窓を叩きつける音。雷が光るたびに、部屋の隅々が見える。古びた家具が埃をかぶっている。一階のリビングルームに4人の若者が集まっている。全員が携帯を手にしているが、圏外表示。)
アユミ 「やっぱり、圏外…どうするの?」
ケンタ 「うーん、とにかく朝まではここにいた方がいいだろう。この雨じゃ、車も動かせないし。」
ユウヤ 「おいおい、これってまさにホラー映画の始まりだよな。突然、幽霊か何かが出てきたり…」
ミキ 「冗談やめてよ、本当に嫌なんだから。」
(雷の音に続いて、電気が消える。暗闇に包まれる。)
アユミ 「ああっ!電気まで…」
ケンタ 「落ち着け、懐中電灯は持ってきたから。」
(ケンタが懐中電灯を取り出し、スイッチを入れる。光が部屋を照らす。)
ユウヤ 「おお、さすがリーダーシップ。じゃあ、火を使えるものを探そうか。」
【リビングルームから廊下に移動する】
(彼らは懐中電灯の光の中、重い足取りで廊下を歩く。雨音が遠くで響いている。)
ミキ 「なんでまた、こんな山奥の誰もいない山荘なんて借りたの?」
ケンタ 「安かったからね。でも、ここまでの天候は予想外だった。」
アユミ 「なんか、寒気がする。この家、誰も住んでいないんじゃない?」
ユウヤ 「それがポイントだろう?人がいないところでリフレッシュしたかったんだから。」
(突如、階段からドサリと音がする。一同が振り返る。)
ケンタ 「今の、何?」
アユミ 「誰かいるの?」
(全員が緊張感を持ちながら階段に向かう。)
【階段】
(ケンタが懐中電灯を階段に照らすと、何もないことが確認できる。しかし、物音はまだどこか遠くで響く。)
ミキ 「やめてよ、変な音。」
ユウヤ 「上の階か、地下か…だな。」
ケンタ 「まずは確かめるしかないか。誰か、俺と一緒に上に行く?」
アユミ 「わ、私は無理…」
(ユウヤが一歩前に出る。)
ユウヤ 「じゃあ、俺が行くよ。」
【二階】
(ケンタとユウヤが階段を上り、二階に着く。薄暗い廊下の両側にいくつかの部屋が並んでいる。)
ケンタ 「まずは一番奥から。」
(懐中電灯の光が廊下を照らし出すが、何も見えない。ドアを一つずつ開けて確認する。)
【一番奥の部屋】
(部屋の中には古いダブルベッドと埃をかぶったドレッサーがあるが、誰もいない。)
ユウヤ 「何も変な感じはしないな…でも、嫌な雰囲気…」
(突然、大きな音と共にドアが閉まる。二人は驚き、ドアに駆け寄るが、開かない。)
ケンタ 「うそだろ、まじか…」
ユウヤ 「誰か!開けてくれ!おい!」
【リビングルーム】
(アユミとミキが心配そうに待っている。)
アユミ 「遅いね…何かあったのかな?」
(その時、階下の古い時計が急に鳴り始める。二人は一瞬怯えるが、部屋から出ずに待つことを選ぶ。)
【薄暗いベランダ】
(一方、二階のベランダに通じる古びた窓が軋む音と共に開く。雨が吹き込む。)
ユウヤ 「何だ、これは…?」
ケンタ 「何かが俺たちをここに閉じ込めようとしているのかもしれない…」
(遠くの廊下の奥から、子供の泣き声が聞こえる。)
ユウヤ 「聞こえるか?子供の声…」
ケンタ 「ああ、でもこの山荘に子供なんているはずがない。」
(雨の雨音と共に、子供の声が次第に近づいてくる。)
【二階廊下】
(泣き声がいきなり途絶える。不気味な静寂。)
ケンタ 「行こう、確認するしかない。」
(ドアを強引に開けようと試みるがビクともしない。すると、突然、そのドアが勝手に開く。)
【一階リビングに戻る】
(アユミとミキが縮こまって座っている。)
アユミ 「大丈夫なの?」
ケンタ 「いや、幽霊とかじゃないけど、何かが確実にいるようだ。」
(その時、突然、窓の外に白い影がちらつく。雷鳴が轟き、影は瞬間的に消える。)
ミキ 「見た?今の…」
ユウヤ 「確かに見た。でも、説明はつかない。」
【地下室への入り口】
(全員が降りることを決心する。)
ケンタ 「地下室も確認してみよう。このままじゃ何が起きてるのかわからない。」
(地下室への階段を降りると、湿気とカビの匂いが鼻をつく。懐中電灯の光が狭い通路を照らす。)
【地下室】
(広々としているが、古い家具や捨てられたような物が散らかっている。)
アユミ 「え、あの…これ、誰かの家か何かなの?」
ユウヤ 「それにしては汚れすぎてる。昔、誰かが住んでたんだろう。」
(再び、子供の泣き声が聞こえる。しかし今回は、声の主が近づいてくる音も。)
ケンタ 「どこにいるんだ?」
(光をあちこちに照らすが、誰もいない。)
ミキ 「もうここを出よう、これ以上は耐えられない!」
【帰路】
(全員が再び一階に戻ることを決意する。)
アユミ 「本当にもう限界…朝まで待つしかないの?」
ケンタ 「ああ、窓から誰かが通りかからないか見張っておこう。」
(全員で窓のそばに座る。雨はまだ激しく降り続いている。)
【クライマックス】
(その時、突然全ての窓が一斉に音を立てて開く。冷たい風が部屋を吹き抜ける。)
ユウヤ 「何だ、これは⁉」
(白い影が一瞬現れ、彼らの周囲を回るように動く。その後、影は突然消える。)
ミキ 「消えた…本当に消えたの?」
【エンディング】
(夜が明け始め、遠くで鳥の声が聞こえる。雨もやっと収まり始め、外に明るさが戻る。)
ケンタ 「何とか…乗り切った、か。」
アユミ 「もう二度と来ることはないけど…」
(みんながほっとした表情で笑みを浮かべる。雰囲気が一転するが、どこかまだ不気味さが残っている。)
(全員が山荘を後にするシーンでフェードアウト。)