奇妙な体験:アパートに潜む不気味な地下室

都市伝説

これは僕が数年前に、親しい友人から聞いた話です。あまりに不気味で、未だに印象に残っているので、皆さんにも共有しようと思いました。その友人の話では、彼の友達のTくんという人物がこの体験の中心にいるそうです。

Tくんは大学生で、ある地方都市で一人暮らしをしていました。大学は自宅から遠かったため、アパートを借りて生活していたのですが、そのアパートにはちょっとした噂がありました。「そこに住むと夜中に奇妙な音が聞こえる。」というもので、具体的には何かが壁を擦る音や、薄暗い中で誰かが囁くような声が聞こえるとのことでした。Tくんはそんな噂を軽く見ていて、特に気にしませんでした。

しかし、住み始めてしばらくすると、Tくんもそれを無視できなくなります。ある晩、勉強に集中していると、何かが壁に当たるような音が響きました。最初は風か何かと思って無視していましたが、それはどうやら毎晩のように続いていることに気づきました。そしてある夜、はっきりと耳にしたのです。人の囁き声。何を言っているのかは分かりません。でも確かに、誰かが何かを訴えかけているかのような、切れ切れの言葉が聞こえるのです。

それだけではありません。次第に、Tくんの周囲で奇妙な出来事が起こり始めました。ある日、友人が遊びに来たときのことです。部屋で話している最中、突然電気が消え、部屋の中が真っ暗になりました。その瞬間、2人とも「何か」に触れられたような感触を覚えたと言います。これに驚いたTくんたちは、すぐに部屋を飛び出し、しばらくその日は友人の家で過ごしたそうです。

そんなことがあっても、Tくんはそのアパートを引き払うことはできませんでした。学生生活も金銭的に余裕があるわけではなく、簡単には引っ越せなかったのです。そして、その後も奇妙な現象は続きました。彼がシャワーを浴びているとき、背後に冷たい何かが感じられることが何度もありました。鏡を見ると、湯気に何者かの手形が浮かび上がっているのです。消えることなく、しばらくはそのまましっかりと残っていました。

ある晩、いつものようにベッドに入ったTくんは、非常にリアルな夢を見ました。夢の中で、知らないこの悪趣味な部屋に閉じ込められているのです。壁は一面真っ黒で、ところどころに何かの印が刻まれていました。室内は非常に冷たく、空気は重苦しいものでした。そこには「何か」がいました。顔は見えないのに、確かに『それ』の存在が感じられ、その存在がTくんをじっと見つめているのです。

目を覚ますと、ベッドの中で、彼は冷や汗をかいていました。しかし、それだけではなかった。自分の体の周りに感覚が残っていたのです。あたかも何かに押さえつけられていたかのような、肌にべったりと残る圧迫感。それが何とも言えない恐怖を彼に与えていました。彼は一晩中眠れずに、起き続けるしかありませんでした。

数日後、我慢の限界を迎えたTくんは、友人と一緒にその部屋を訪れました。そこで、友人が何気なく壁を叩くと、響き渡る音がしました。「中が空洞だ。」友人は驚いて言いました。好奇心に駆られ、壁を調べてみると、そこには不自然な線が見つかりました。それは、何かが貼られているような感じだったのです。

恐る恐るその部分を剥がしてみると、そこには古いドアが隠されていました。彼らはそのドアを何とか開けてみると、小さな地下室が続いていたのです。まるで忘れ去られた記憶が形を持ち始めるかのように、その空間は埃にまみれ、無数の古い紙片が散乱していました。書かれていた内容は、失われた言葉の羅列のように意味不明でしたが、一つだけはっきりと読み取れる文字が目につきました。「帰れない。」

その一言に彼らは鳥肌を立て、すぐさまその場を後にしました。その夜は二度と戻らないと心に誓ったのです。後日、そのアパートの所有者に確認をとると、その部屋はかつて、ある男が家族と共に消えたまま見つからないという事件の現場であることが分かりました。そのため長らく人手に渡らなかったのですが、時が経ち、事件の記憶が薄れた頃にまた貸し出されるようになったのだそうです。

Tくんは、これまでのことが脳裏をよぎり、「もしや、あの地下室は…」と理解したと静かに語ったそうです。それから彼はどうにかして生活を再建し、もう二度とそのアパートには近づかなかったそうです。

その体験談を聞いてから、僕自身も常に気を引き締めておくようにしています。聞いた話が事実かどうかは分かりませんが、何かしら不可解な出来事は、どの町にも潜んでいるのかもしれません。皆さんも、何かしらの噂には耳を傾けてみるのもいいかもしれません。世の中にはまだ解明されていないことが、数多く存在するのですから。

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