呪われた古文書との対峙

呪い

【2023年10月1日】

私はこの日記をここに書き留めることにする。これから私に何が起きるのか、誰にもわからない。不安と恐怖が心を支配しているが、それでも記録として残しておきたい。私が犯した過ち、それが影を落としているのかもしれない。

昨夜、大学の研究室で古文書の整理をしていた時、奇妙な巻物を見つけた。それはひどく古びていて、触れると崩れそうだったが、中に記された文字は鮮明だった。無意識のうちに、その文章を声に出して読んでしまったのだ。そして、その後から何かが変わったことに気づく。

【2023年10月2日】

夜、眠れなかった。部屋の隅で何かが動いている。それは次第に大きくなり、影となって私を見つめている。恐ろしくて、夜通し電気をつけっぱなしにしてしまった。それでも影は消えていない。朝になっても薄れていないのだ。私は恐怖に震えながら、別の教授に相談しようと考えた。

【2023年10月3日】

教授に相談したが、彼は呆れたように笑っただけだった。「古文書の呪い?」と、自分でも馬鹿らしいとは思っていた。しかし、影は消えない。むしろ強くなっているように感じた。それに、教授に巻物のことを話した瞬間、彼の顔が一瞬歪んで見えた。果たして、これは私の罪によるものなのか。

【2023年10月5日】

ここ数日、影は増えている。最初の一つだけだったのが、今では数人の人影が部屋の中を彷徨っているのだ。私はだんだんと視界がぼやけて、自分が何を見ているのか分からなくなってきた。しかし、文献を調べた結果、古文書にかかれた呪いの内容を発見した。それは、何人もの命を呪縛し続けるといったものらしい。

【2023年10月7日】

影は私の耳元で囁き始めた。その声は低く、聞き取りにくいが、どうやら警告されているらしい。「罪を償え」と、それは繰り返し言う。私の罪とは何だろうか。古文書に手を触れたことだろうか。読み上げた言葉か。それとも、私はもっと昔、何か取り返しのつかないことをしてしまったのか。

【2023年10月10日】

私は日々の生活が困難になっている。影は家の中だけでなく、外にまで広がっているようだ。大学に向かう途中、私の周りにうごめく影たちが見える。まるで私を囲むかのように、彼らはしっかりとついてくる。人々の視線が私に集まり、彼らにも影が乗り移ったのではないかと思えてくる。

【2023年10月14日】

私の精神状態がおかしくなってきた。人がすれ違うたびに、その人影が影に浸食されていくのを感じる。次第に、私はこの町全体が影に覆われるのではないかという恐怖に苛まれる。私はこのままでは、周囲の人々の命まで奪ってしまうのかもしれない。

【2023年10月16日】

昨夜、古文書のことを調べるうち、300年前にこの町で起きた悲劇的な事件を知った。何人もの村人が謎の死を遂げ、その原因を突き止めることができなかったという。それは、私が発見した古文書にまつわるものだと確信した。その事件以来、文書は固く封印され、忘れ去られていた。私は無知ゆえに、それを解き放ってしまったのか。

【2023年10月20日】

影の声が日に日に大きくなり、私の意識を乗っ取ろうとしているようだ。私は過去に犯した罪と向き合う必要がある。自らの愚かさを、そして今、自分が何をしなくてはならないのかを。影たちはどうやら私に償えと言っている。だが、どうやって償えばいいのだろうか。

【2023年10月24日】

私が死ぬことで、この呪いを終わらせることができるのだろうか。しかし、私の命がこの呪いを断ち切るための犠牲であるなら、それも仕方のないことかもしれない。私は、影の中に立ち尽くし、彼らの視線を受け止める。そして、決断を下した。

【2023年10月25日】

私はこの日を最後にすることに決めた。影たちは静まり返り、まるで私の選択を待っているかのようだ。最後の力を振り絞り、この呪いを終わらせてほしい。私が過去に犯した罪が何かは分からないが、それに対する償いがこれであれば、私はそれを受け入れよう。

【2023年10月26日】

影の囁きはようやく消え去った。私の選択が正しかったのかどうかは分からない。だが、これで他の人たちが影に囚われることはなくなると信じたい。この記録を読んでいる誰かに伝えたい。この呪いは過去の罪を償うためだったのだ。そして、私がこの顛末の結末を迎えることで、影たちもまた、安らぎを取り戻したのかもしれない。それが真実であることを願って。

タイトルとURLをコピーしました