友達の友達が住んでいるマンションでの話なんだけどね…そのマンションって、何でも幽霊が出るって噂があってさ。最初は冗談だと思ってたんだけど、実際に体験した人たちの話を聞くと、どうもただの噂じゃないみたいなんだ。
最初の視点は、そのマンションの3階に住んでいるスズキさん。彼女は毎朝決まった時間に出勤するため、朝は慌ただしく動いている。その日もいつも通りに支度をしていると、突然部屋の隅から冷たい視線を感じたという。振り返っても誰もいない。なんとなく嫌な予感がしたが、時間が迫っていたので気にせずにそのまま出勤した。だが、その日からスズキさんは何かに見られている感覚に悩まされることになる。
次の視点はスズキさんの階下に住むタナカさんの話だ。彼は夜勤の後、昼間に眠ることが多く、その日も午前中に帰宅して眠っていた。すると、床上からなにやらカタカタと物音が聞こえてきた。最初は気にせず眠っていたが、だんだんと音が大きくなっていき、結局眠れなくなってしまった。音が止んだ後、彼は怖る怖る上の階に上がって確認してみた。しかし、スズキさんの部屋には誰もいなかったことを知って衝撃を受けた。
そして、ある夜、同じマンションの1階に住む男性がエレベーターを待っていた。彼は2台のエレベーターのうち片方が点検中であることに気づいた。もう片方のエレベーターに乗り込むと、何故か3階で一旦停止したらしい。どなたかが降りるのかと期待して待っていると、ドアが開いた先には誰もいなかったという。それどころか、ドアの開閉ボタンに触れた様子もないのに、勝手に閉まったというのだ。
そして最後にマンションの管理人のハヤシさんが、住人からの訴えが多くなったため、夜に確認することを決めた。彼は懐中電灯を持ち、人気のない時間帯にマンション内を巡回した。特に何も見つからなかったが、3階に行ったときに廊下の奥からふと視線を感じたのだという。振り返った先には、ふわりとした白い影が一瞬だけ見えたような気がした。次の瞬間にはそれは消えており、あまりの恐怖にその場を後にした。
これらの現象を経験した人々は次第に少なくなり、住人たちは次々と引っ越していったが、後にそのマンションでは新たな住人によって似たような体験が続けて報告され続けた。それはまるで、そこに住み着いた何かが、新しい住人を楽しんでいるかのように。
そして、ある時マンションの工事で壁を壊したら、見覚えのない古い人形が出てきたという。住人たちの間では、その人形が何かを象っているのかもしれないと話題になったが、その後の調査でも出所は不明のままだった。最後に、この話をして知ったことだが、そのマンションは昔、別の用途で使われていた建物で、そこに住んでいた者たちの怨念が潜んでいるのだと。
だから、もしあなたの住んでいる場所でも何かおかしなことが起きたら、それはただの偶然とは言えないのかもしれないね…。