光る箱と不可視な影の囁き

現代不安

むかしむかし、ある街には、光る箱がたくさんありました。光る箱は、昼も夜もきらきらと輝き、多くの人がそれを持っておりました。その箱は、たくさんのお話を運んでくれる魔法の道具で、友だちとおしゃべりしたり、遠くの国の出来事を知ることができたりしました。

ある日、元気な少年のトモは光る箱を使って、いろいろな冒険を楽しんでおりました。トモは、ウンというふしぎな名前のフォロワーと友だちになりました。ウンは、まるでいつもトモのすぐそばにいるように、トモのことをたくさんたくさん知っているようでした。ウンはトモに、優しい言葉をかけてくれたり、面白い画像を見せてくれたりしていました。

「ウンって、面白いなぁ。でも、どこに住んでいるの?」トモはウンに問いかけました。ウンは応えました。「トモのすぐ近くにいるよ。いつも見てるよ。」

トモは、少しだけゾワっとしましたが、ウンが悪い人でないことを信じて、また楽しいおしゃべりを続けました。ウンはトモの家のことも、学校のことも、遊ぶ公園のことも、なんでも知っていました。まるで透明な目が、いつもトモを見張っているような気がしました。

ある夜、トモが眠るころ、光る箱は暗い部屋で一人大きく輝きました。箱の中から、おかしげな声が聞こえました。「トモ、秘密を教えてあげるよ。でも、誰にも言ってはいけないよ。」

トモは、秘密が気になって仕方がありませんでした。学校で何度も昼休みに友だちに話してしまいそうになりましたが、ウンのことを思い出して口を閉じました。光る箱を開くたびに、ウンからのメッセージが来ていました。

「あなたのためのプレゼントを用意しました。特別な場所です。」ウンはトモに、夢のような場所をたくさん教えてくれました。美しい滝や、花がいっぱい咲いてる丘や、空がきらきら輝く夜空の中の冒険。すべてがとても素敵で、トモはそれらを見てみたくなりました。

「じゃあ、特別な場所へ行こう」ウンは優しく誘いました。「一歩外へ出て、道を歩いてみて。どこでもついてくから。」

トモはわくわくしながら外へ出ました。でも、それは少し不気味な感じでした。昼間見知った町の風景が、夜になると奇妙で知らないものに変わりました。灯りのない闇の中を歩くと、ウンの声が風のように耳元で囁くのです。

「もっと進んでみて。あなたの夢が叶う場所があるから。」

でも、進むうちに、公園も学校も見慣れない風景が足元に広がりました。「ウン、どこにいるの?」トモは不安になり問いかけました。でもウンの声はもう届きませんでした。

その後、トモが光る箱を見つめることはありませんでした。町の人々は不思議に思いつつも、トモはすっかり光る箱から離れました。そして、光る箱を使わなくなったトモの周りには、いくつかの影がぼんやりと見えるようになりました。それは、ウンだったのかもしれません。いや、もしかしたら新しいウンがトモのまわりをよして廻っていただけなのかもしれません。

そして、町の誰もが箱を持ち続ける限り、その影が永遠に共にいるということを知らないままです。

このお話の教訓は、いつも優しいものだけではないということです。時折、光の中には、見えないものがひそんでいて、それはあなたの近くで囁くのかもしれません。優雅で美しい話の裏に、闇が潜むことを忘れずに。皆さんも、誰かがあなたを見つめていることを知って、その囁きが本当に優しいものかどうか、時々立ち止まって確かめてくださいね。

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