不気味な視線と影の正体

心霊体験

僕が体験した出来事を話そうと思います。これは、ほんの数か月前のことです。僕は都内の小さなマンションに住んでいて、特に何の変哲もない日常を送っていました。でも、その事件が起きてから、少しだけ日常に対する感覚が変わった気がします。

その日も、普段通り仕事を終えて夜遅くに帰宅しました。仕事の疲れで心身ともにクタクタでしたが、一人の時間を楽しもうと、いつものようにリビングでゆっくり過ごしていました。少し前に引っ越してきたばかりの部屋で、まだ完全には住み馴れていないはずなのに、不思議と落ち着ける空間でした。特に変わったところのない1LDKの部屋で、家具も最低限のものしか置いていません。

夜も更けたころ、ふと窓の外が気になり、カーテンを少しだけ開けて外を眺めました。そこには、夜の街の景色が広がるだけで、特に変わったことは何もありませんでした。ただ、その時ふと、視線を感じたのです。誰かが見ている。そんな気がしました。でも、錯覚だろうと思い直し、すぐにカーテンを閉めました。

その夜は特に何もなく眠りについたのですが、次の日の夜も同じように、またあの視線の気配を感じました。気のせいとも言い切れない、妙な感覚が次第に強くなってきました。でも僕は怖がりながらも、日常に戻ることを心がけました。

不思議なことはそれだけでは終わりませんでした。ある夜、リビングのソファでうたた寝していると、急に肩を叩かれるような感覚があり目を覚ましたんです。でも、そこには誰もいませんでした。あの時の奇妙な不安感は、今でもはっきりと思い出せます。だけど結局「疲れのせいか」とその場を納得させ、気にしないことにしました。

それから数日経って、ついにその「視線」の正体と向き合わなければならない出来事が起こりました。ある週末の夜、久しぶりに友人と飲みに行こうと準備をしていた時のことです。スマホを取りにリビングに戻ると、そこにストレンジャー、つまり見知らぬ誰かが立っていました。いや、正確に言えば、「何か」が。

その何かは黒い影で、人の形をしているけれど、顔や体の詳細はまったく見えませんでした。薄暗いリビングで、ただ静かに佇んでいて、僕の方をじっと見つめているのです。心臓がドクドクと大きく鳴り、足がすくんで動けませんでした。声を出そうにも声が出ない。ただ、その影が何か語りかけようとしているような、そんな気がしたのです。

しかし、数秒後にはその影はふっと消えてしまいました。まるで、僕の気配を察したかのように。友人からの連絡で我に返った僕は、震える手でスマホを掴み外出しました。その日の酒の味は覚えていないほど、頭の中は混乱していました。

その体験を友人に話したところ、「もしかしたら何かの前触れかもな」と言われました。冗談半分に言いながらも、友人の目は真剣でした。それくらい、僕の話には真実味があったのかもしれません。彼らの忠告もあり、僕は引っ越しを決意しました。

新しい部屋に引っ越してから、例の不気味な経験は起きていません。しかし、夜になると窓を何度も確認してしまう自分がいます。それが、自分の部屋が安全であることを確認するための儀式みたいなものになりました。

あれが一体何だったのか、いまだにわかりません。ただ一つはっきりしているのは、あの出来事以来、夜の静寂には別の意味があるように感じられること。僕が心霊体験を語るなど、以前の自分ならば考えもしませんでした。しかし、今ではあの出来事があったからこそ、夜に潜む何かが実際に存在するのではないかという考えを完全に捨て去ることができなくなっています。

そんな僕が警告したいのは、誰もが彼らの気配を感じるようになるかもしれないということ。何もないはずの夜に、本当に何もないのか、今では疑問が尽きません。あなたにとっての「当たり前」が、ある日突然「恐怖」に変わる可能性もある。それは、僕が身をもって体験した事実なのです。

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