[アンケート回答用紙]
質問1: あなたの名前を教えてください。
回答: 佐藤大輔
質問2: 性別を教えてください。
回答: 男性
質問3: 年齢を教えてください。
回答: 28歳
質問4: あなたが最も恐れているものは何ですか?
回答: 闇を見ること
質問5: 最近の休暇の過ごし方を教えてください。
回答: 最近は仕事の関係であまり休みを取れていないが、過去一度だけ山奥の小さな村に旅行に行った。この村は地図にも載っていない場所で、昔から漁村だったらしい。そこには古い神社があり、夜には何もない闇が全てを包む。このとき、私はあるおぞましい光景を目撃した。村の人々が何かの儀式を行っていて、若い女性が一人、祭壇の上で震えていた。彼女の姿を見た瞬間、理解不能な恐怖が全身を駆け巡った。目を凝らして見ると、何か人外のモノが彼女の背後にいた。私はその場から逃げ出した。
質問6: 最近困ったことを教えてください。
回答: あの村以降、夜になると夢の中にあの儀式の光景が現れる。最初は単なる悪夢だと思っていたが、日に日に夢が鮮明になる。夢の中では、あの時逃げてきたはずの私が儀式に参加している。夢の中の私は笑いながら刃物を振りかざし、目の前の何かを切り裂いている。その血の感触と悲鳴は、現実の私を恐怖で押し潰す。夢から覚めるたびに、身体中には見覚えのない痣や切り傷が残っていることに気付いた。
質問7: 最近誰かに話しかけられたときのことを教えてください。
回答: 先日、駅で見知らぬ男が突然話しかけてきた。その男の顔には、今でも覚えている、村の男たち特有の異様な冷たさがあった。そして彼は静かにこう言った。「もうすぐ思い出すだろう、君が何をしてきたのかを。」全身が凍った。あの村の記憶が頭の中で鮮明に甦る。あの時、私は本当に村から逃げ出せたのか、あるいは何かもっと恐ろしいことが起こったのか。そのことが頭から離れない。
質問8: 今までに一番奇妙だと思った体験を教えてください。
回答: 直近の夢の中で、私は祭壇の上に磔にされた状態で目を覚ました。周りには私と同じく笑っている私が何人もいる。どの私も同じ顔をして、何かを求めるような目でこちらを見つめていた。突然、どこからか「ああ、やっと君か。」という声が聞こえ、全ての私が一斉にこちらに向かって歩き出した。私は逃げようとしたものの、身体は全く動かなかった。その時の恐怖は言葉では形容しがたいものだった。
質問9: 今、あなたの周りで何が起こっていますか?
回答: ペンが自然と動いている。これは夢だろうか。全身が重く、視界が揺れている。部屋が徐々に暗くなっている気がする。このアンケートの内容は誰に届けられるのだろう。誰かが私の後ろに立っているような、そんな気がしてならない。しかし、振り返る勇気がない。もうすぐ何かが来るのだろうか。
質問10: あなたが選ぶことで変わることがあるとしたら、何を選びますか?
回答: もし選べるのなら、あの村には決して行かなかった選択をするだろう。どこかで何かが狂ってしまった。そして、その狂気は次第に私自身を侵食している。もう他の選択肢が残されているかわからないが、もし何かを正せるのであれば、過ちを犯さない選択をしたい。
回答完了。
[コメント欄]
記述を続ける手が止まらない。まるで何かに操られているかのようだ。このアンケートを通じて、私自身の記憶が欠けていたパズルのピースを見つけ出すのではないかという気がしている。だが、その全貌が明かされてしまうことが恐ろしい。私は今、どこにいて、これから何をするのだろうか。質問の合間に蘇るあの村の儀式、夢の中の私の姿。それが映し出す現実とは、いったい何なのか。
以上でアンケートを終了します。回答者の無事を祈ります。